「就活に備えて靴を用意しなくちゃ……」
そう思い立ったものの、「意外と靴の種類が多い……」「就活でどんな靴だったらよいのか分からない」等々という場面が出てくるはずです。
また「就活ではこれを履かないと落ちる」「この靴以外は、就活でマナー違反」といった情報も乱立しており、何が正解なのか分からないという人も多くいるでしょう。
これを読めばもう安心!
就活のみならず、社会人になった時にも使える知識ですので、どんな時にどの靴を履けばよいかを完全マスターしましょう!
まずは靴の種類と特徴を整理
就活における靴といえば、主に革靴が一般的です。しかし革靴と一言で言っても、多くの種類があります。一般的に革靴というと、以下8種類(デザイン)に分けることができます。
後々、就活時にどの靴をどういった服装に合わせるかの参考にもなりますので、まずはそれぞれの種類と簡単な起源を知っておきましょう。
なお種類といっても、現代においては実質的にデザインの違いだけで、機能面の違いはないという認識で問題ありません。
・ストレートチップ
・パンプス
・プレーントゥ
・Uチップ
・ウイングチップ(ブローグシューズ)
・モンクストラップ
・スワールトゥ
・ローファー
※この他の種類もありますが、ここでは割愛します。
※現代では複数の種類のデザインが混ざったタイプも存在します。
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(1)ストレートチップ
写真のような、足の甲とつま先の間に横一文字の縫い目が入ったデザインです。元々イギリス王室での室内履きとして使用されていたものが起源と言われています。
▼ストレートチップ
(2)パンプス
写真のような、履き口が足の甲にかけて大きく開いており、紐や留め具のないデザインです。元々は舞踏会等で着用されていたものが起源といわれています。
▼パンプス
(3)プレーントゥ
写真のような、足の甲からつま先の間に、デザインが何も入っていないシンプルなデザインです。元々軍靴として使用されていたものが起源と言われています。
▼プレーントゥ
(4)Uチップ
写真のような、足の甲からつま先の間に、U字のデザインが入ったものです。元々は漁師用の防水靴や、狩猟やゴルフで使用されていたものが起源と言われています。
▼Uチップ
(5)ウイングチップ(ブローグシューズ)
足の甲からつま先にかけて、穴飾りのあるものです。元々は湿地帯を歩いたり、狩猟で使用されていたものが起源と言われています。
(6)モンクストラップ
紐でなくベルトで締めつけるタイプの靴です。修道士の履いていた靴が起源と言われています。
(7)スワールトゥ
足の甲からつま先にかけて、縦に2本線のデザインの入ったものです。足をつま先を長くスマートに見せるため、約20年前に考案されたカジュアルなデザインと言われています。
(8)ローファー
靴紐の備わらない革靴で、中学・高校生の制服として採用されることも多いものです。元々は上流階級のオフシーンでの室内履きとして使われていたものが起源と言われています。
※起源については、それぞれ諸説あります
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就活における靴選びのポイントは3つ!
では、就活における靴選びにおいて、何を判断基準にすればよいのでしょうか?
ポイントは、次の3点の組み合わせです。
・靴の色
・羽根(靴紐を通す部分のデザイン)
・デザイン
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(1)靴の色
フォーマル度が高い順に、黒>こげ茶(ダークブラウン)>その他の色です。
黒が最もフォーマルで、色が明るくなったり派手になっていくほどフォーマル度が下がると覚えておけばよいでしょう。
(2)羽根(靴紐を通す部分のデザイン・画像赤丸部分) ※主に紳士靴
フォーマル度が高い順に、 内羽根(画像左)>外羽根(画像右)です。
外羽根は、元々外で活発に動く際の利便性を高めるため生まれたデザインと言われています。そのため、内羽根よりフォーマル度が下がるのです。
▼左:内羽根 右:外羽根
(3)デザイン ※主に紳士靴
現代のビジネスの場においては、一般的にフォーマル度が高い順にストレートチップ>プレーントゥ>その他です。
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それぞれの靴のデザインのルーツ的に、フォーマルな場で使われていたものが、ある程度そのまま現代にも引き継がれていると考えておけばよいでしょう。
迷ったらこれを履くべし!シチュエーションごとに解説
では、3点のポイントを押さえたところで、就活の各シチュエーションごとに選ぶべき靴をお伝えします。
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(1)スーツの場合
就活におけるスーツ着用場面では、紳士靴の場合、迷ったら「黒の」「内羽根の」「ストレートチップ」を選んでおけば、まず間違いありません。
先ほどの3点のポイント全てにおいて、最もフォーマルな基準を満たしているため、就活でのスーツ着用シーンだけでなく、冠婚葬祭にも使用できる汎用性の高さを持ちます。
次点で、「黒の」「外羽根の」「プレーントゥ」も、一般的に問題ありません。内羽根の場合、どうしても足のサイズや甲の高さによって外羽根より快適に履けないというケースもあります。就活の場合、1日中動き回ることもあるため、自身の足に合ったほうを選ぶと良いでしょう。
レディースシューズの場合、「黒の」「つま先のとがっていないパンプス」がおすすめです。この時注意すべきポイントは、ヒール部分の高さ・太さと素材です。
ヒールの高さは、3~5cm程度のあまり高くないものかつ太いものを選ぶと、歩きやすさや安定感が増します。また素材は、フォーマル度の点から天然皮革や合成皮革(人口皮革)を選ぶとよいでしょう。
ただしパンプスは、脱ぎ履きのしやすさに優れる一方、本来的に長時間の着用や歩行に向いている靴ではありません。靴紐を使って足と靴をしっかり固定することができないため、長時間歩くと余計に疲れたり、靴ずれを起こしやすいためです。
ストラップ付きのパンプスも販売されているものの、やはり紐靴ほどしっかり足と靴を固定できないため、ストラップなしのパンプスと大きな差はありません。
必要に応じて、移動の際は長時間の着用や歩行に適した紐靴を使い、現地で履き替えるなど、足に負担をかけない形で使い分けをするとよいでしょう。もしくはスーツに合うような紐靴を選ぶというのも、方法の1つです。
(2)就活の面接時やインターンシップ等で、私服(オフィスカジュアル)参加指定・推奨されている場合
私服(オフィスカジュアル)で参加する際、紳士靴の場合迷ったら「黒かダークブラウンの」「外羽根の」「プレーントゥかUチップ」がおすすめです。
まずウイングチップは、装飾の多いデザインです。ゆえにどうしても目立つため、賛否の分かれる可能性があります。
次にモンクストラップやローファーといった革靴は、靴紐で足と靴をしっかり固定することができないデザインのため、長時間履いて歩いたりすると疲れやすかったり、靴ずれを起こしやすいというデメリットがあります。
また、ローファーは起源からしてカジュアルな靴です。場合によっては「オフィスカジュアルとはいえ、ローファーだとカジュアルすぎる」と判断される可能性もありますので、注意が必要です。
一方スワールトゥは紐靴ではあるものの、デザイン的につま先が他のデザインの靴に比べ長いものが多いです。そのため歩いている時につまづきやすかったり、足をぶつける可能性が高いため、避けたほうが無難でしょう。
※黒の「内羽根の」プレーントゥやUチップは、一般的なデザインではないため、割愛します。
レディースシューズの場合、「黒もしくは落ち着いた色合いの」「プレーントゥもしくは、つま先のとがっていないパンプス」がよいでしょう。
なおパンプスの場合、ヒールの高さは、(1)で書いたような3~5cmより、さらに低いもので問題ありません。足への負担も軽減できるためおすすめです。
ただし(1)でも書いた通り、パンプスはそもそも、長時間の着用や歩行に向いた靴ではありません。必要に応じて、移動時は歩きやすい紐靴を履く等、足に負担をかけない形で使い分けるとよいでしょう。
CHECK:私服(オフィスカジュアル)で、黒の内羽根のストレートチップはNG?
黒の内羽根のストレートチップは、スーツにおいて万能とも言える一方、私服(オフィスカジュアル)では避けたほうが無難です。なぜなら服と靴それぞれのフォーマル度のバランスが釣り合っていないからです。
黒の内羽根のストレートチップの靴は、冠婚葬祭にも使える最もフォーマルな靴です。そこに私服(オフィスカジュアル)のようなややカジュアルな服装を合わせると、ちぐはぐな印象になってしまう可能性があります。極端な例で言えば、冠婚葬祭用のスーツ(礼服)を着ている時、スニーカーを履くようなイメージです。
もちろん、プライベートの場面で、私服のファッションとして黒の内羽根のストレートチップを履くというパターンもないわけではありません。しかしプライベートと就活(ひいてはビジネス)の場は違うものです。その場に合った靴選びをするようにしましょう。
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主に紳士靴の場、一般的に就活といえば「黒の」「内羽根の」「ストレートチップ」の靴が一般的と言われています。もちろんスーツに合わせる場合は、この靴を選択しておけば間違いありません。
しかし(1)と(2)いずれも対応できるようにしておきたいという場合は、「黒の」「外羽根の」「プレーントゥ」がおすすめです。こちらもスーツに合わせるには全く問題ない上、私服(オフィスカジュアル)にも対応できる汎用性の高さが魅力です。
いずれも就活における靴選びにおいて大事なのは、インターンシップ先や、就活で会う相手への思いやりです。その場にそぐわない靴を履いていった場合、第一印象の面で損をする可能性が高まります。
例えば、インターンシップ先の社員や就活での面接官から「この人を就業体験でお客さんのところに同席させても大丈夫だろうか」とか「この人を採用して大丈夫だろうか」と思われてしまうというようなケースです。
「就活で余計な損をしないため」にも、しっかりと靴を選ぶよう注意しましょう。
就活用の靴はどこで買うべき?
就活において、どんな靴を履けばよいかが分かりましたね。
では、実際に就活用に靴を購入する際、どんな点に気を付けるべきなのでしょうか。
ポイントは3点です。
・買う場所
・サイズ
・靴の素材と買う足数
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【1】買う場所
一般的には、スーツ店、靴屋、百貨店、ECサイトの4つが代表的です。おすすめは品揃えの多さ・価格・自分に合った靴を探せるという3つの面のバランスで、靴屋です。
ただ、「できるだけ安く買いたい」「値段が高くてもよいから、社会人になっても長く使えるものが欲しい」等、自身の価値観に合ったお店で購入するとよいでしょう。
(1)スーツ店
メリット
・就活用のスーツと一緒に購入できるので、手間が省ける。
・スーツとのセット割引があることも多く、費用を抑えられる。
デメリット
・種類が少ないので、サイズや足の形に合った靴を選びにくい。
・スーツが本業のため、靴自体の品質は、どうしても靴屋や百貨店に劣る傾向がある。
(2)靴屋
メリット
・種類が豊富なので、サイズや足の形に合った靴を選びやすい。
・革靴の専門店なら、比較的靴自体の品質が高い傾向にある。
・足に合った靴選びをサポートしてくれる「シューフィッター」が在籍していることも多い。
デメリット
・スニーカー等幅広く扱う店舗の場合、革靴を得意とする「シューフィッター」がいない場合がある。
・店舗や種類によっては、価格が高い。
(3)百貨店
メリット
・種類が豊富なので、サイズや足の形に合った靴を選びやすい。
・特定のブランドに限らず、幅広く置いてある。
・比較的靴自体の品質が高い傾向にある。
・足に合った靴選びをサポートしてくれる「シューフィッター」が在籍していることも多い。
デメリット
・高価格帯の靴が多い。
(4)ECサイト
メリット
・種類が豊富。
・特定のブランドに限らず、幅広く探すことができる。
・同じ靴でも、実店舗より安く購入できることがある。
デメリット
・その場で試着できないため、本当に足に合っているかが分からない。
【2】サイズ
できれば「シューフィッター」の在籍しているお店で、まずは自身の足の実寸を測ってもらうと確実です。
自身の足幅や足囲といった実寸を理解した上で、靴選びをするとよいでしょう。
試着する場合は、その靴を履く際に着用する予定の靴下やストッキングを履いて試着すると、実際の使用感に近い感覚で選ぶことができます。
なお、足に合う靴のサイズは、必ずしも自身の足の実寸と同じとは限りません。
デザインによっては、足の実寸より1サイズ小さい靴のほうが自分の足に合ったり、その逆もあったりします。
そういった意味でも、やはり試着は必ずしたほうがよいでしょう。
【3】靴の素材と買う足数
靴の素材は、大きく天然皮革と合成皮革(人口皮革)に分かれます。就活においては、どちらを使用しても問題ありません。自身の価値観に合うほうを選ぶとよいでしょう。
(1)天然皮革
メリット
・手入れをすれば、人口皮革より長持ちしやすい。
・ある程度の傷ならば、手入れにより隠すことができる。
デメリット
・合成皮革に比べ高価。
・水や汚れにより染みになりやすい。
(2)合成皮革(人口皮革)
メリット
・天然皮革に比べ安価。
・水や汚れに強い。
・メンテナンスが楽
デメリット
・素材の特性上、たとえ使用頻度が低くとも2~3年程度で寿命を迎える。(ひび割れや、靴表面がボロボロと崩れてしまう)
・傷がつくと目立つ。
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ただし、天然皮革・合成皮革いずれの靴を使用する場合も、最低3足は揃え、ローテーションで履くようにしましょう。連続して同じ靴を履き続けると、汚れが目立ったりすぐに壊れてしまうためです。
これだけはやろう!靴の手入れ方法
最後に、靴の手入れについても知っておくことが重要です。靴は体の中で先端部分にあたるため、目立つ部分です。就活の各場面で第一印象をよくするためにも、靴はしっかり手入れをしましょう。
とはいえ、忙しい就活の中で靴の手入れに時間をかけることは難しいという人も多いはずです。また、ちゃんとした手入れ道具を全て揃えようとすると、それだけで10,000円以上かかってしまうこともあります。
そんな人は、次の2つだけ用意し、1日履いたら帰宅後に手入れをしましょう。
・馬毛ブラシ×1個:500円台~手に入ります。埃を払うために使用します。
・シューツリー(シューキーパー)×持っている靴の数:両足1セットで900円程度~で手に入ります。靴の形が崩れないために使用します。主な素材は木製とプラスチック製のいずれかです。おすすめは木製のシューツリーですが、自身の予算感に合わせて選ぶ形で問題ありません。
この2つを用意したら、帰宅後に次のように手入れをします。
・シューツリーを入れる
・馬毛ブラシで埃を払う
・翌日、シューツリーを抜き取り陰干しする
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(1)シューツリーを靴の中に入れる
まずは帰宅後靴を脱いだら、靴の中にシューツリーを入れましょう。スーツで言うところの、ハンガーにかける作業にあたります。
※ここでは帰宅後すぐにシューツリーを入れる方法を紹介しています。ただ「シューツリーを入れるのは、靴を干してから」等、どのタイミングで靴に入れるかは諸説あります。しかしいずれも「シューツリーを使うことが大事」という点は変わりません。自身に合ったタイミングで入れるようにしましょう。
(2)馬毛ブラシで埃を払う
次に、靴の表面を馬毛ブラシで簡単に払います。ゴシゴシと強くこする必要はありません。軽くなでるくらいの強さで靴表面全体をブラッシングしましょう。埃を払うだけなので、片足~30秒に収まるレベルで問題ありません。
なお靴底は、一般的なゴム製の場合ブラッシングしなくて問題ありません。
なお、泥はね等の馬毛ブラシで落ちない汚れがある場合、固く絞ったタオルや布で靴表面を拭くだけでも、おおむね落とすことができます。
(3)翌日、シューツリーを抜き取り陰干しする
シューツリーを入れたままだと、靴の中が十分に乾かないため、翌日になったらシューツリーを抜き取り陰干しをしておきましょう。2~3日間ほど乾かしたら、またシューツリーを入れて保管しておきます。
※2~3日間ずっと外に干しておく必要はありません。
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もちろん、手入れ道具をすでに持っており、靴のお手入れが好きという方は、普段通りにお手入れしていただければ問題ありません。
就活で、靴は意外と見られるポイント
就活における靴の選び方から、買い方や手入れの仕方まで、一気にマスターできたのではないでしょうか。
もちろん、業種や職種によって求められる服装は異なりますし、ビジネスシーンでも服装のクールビズやカジュアル化が進んでいます。そのため、就活においてここで書いたような靴を履いていない=即駄目というわけではありません。
しかし就活のみならず、靴は意外と見られていないようで見られている部分です。
面接の場などに、本来的にはふさわしくない靴を履いていくと、第一印象で面接官に「この人を採用して大丈夫だろうか」といった不安を抱かせてしまう可能性も、全くないわけではありません。
余計なことで損をしないためにも、靴の選び方はマスターしておきましょう。
また自分の服装や靴、マナーに不安のある人は、就職ナビサイト主催のイベントに参加して正解を聞いておくということも方法の1つです。例えばブンナビ主催のイベントでは、就活の最前線にいるキャリアコンサルタントから、就活マナーや服装/靴について、忖度なしに教えてもらうことができます。
就活は、エントリーシート対策や自己PRや志望動機対策ばかりに目が向きがちになるものの、やはり最後は人と人のコミュニケーションです。
そのため、第一印象を磨いておくことも必要不可欠です。中でも「足元を見る」という言葉があるように、靴は第一印象を大きく左右します。
少し靴に気を使うだけで、就活での第一印象をより良くできますので、ぜひ今回マスターしたことを実践してみてくださいね。
ブンナビでは、優良企業が参加する合同説明会をはじめ、一人ではなかなか出来ない選考対策セミナーなどの情報を発信しています。
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