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「面接で短所を聞かれた!」正しい答え方とは?現役人事が解説

就職活動

面接中に、急に「あなたの短所を教えてください」と聞かれた!
この時の正しい答え方は?逆にどう答えるのはNG?

今回は現役の採用担当者として、株式会社文化放送キャリアパートナーズ キャリア支援部 西田祐樹氏が、「面接で短所を聞く理由」や「面接で短所を聞かれた時、どう答えるのが正解か」等々を、「採用担当者視点」から伝授します!

面接で短所を聞く理由とは?

──本日はよろしくお願いします。面接で聞かれることといえば「自己PR」「ガクチカ」「志望動機」等が王道である一方、たまに「あなたの短所を教えてください」という質問を、面接官側でされていることがありますよね。なぜ面接で、わざわざ「あなたの短所を教えてください」と質問するのでしょうか?

西田:面接で短所を聞く理由は、「就活生の人となりを知ることで、実際に採用したときにどのような活躍をしてくれそうか知るため」です。

面接では長所を聞いていく一方、それだけだとどうしても他の就活生と話が似通ってきてしまいます。だからこそ、逆に短所について聞くことで、「自己分析ができているか」や「短所を言語化できるか」「その短所に対しどのような向き合い方をしているのか」といった、その就活生ならではの人となりを聞くことができるというわけです。

例えば面接の中で、「目標に対し、最後までやりきる力があります」と自己PRした就活生が2人いたとします。この時の長所は2人とも同じですが、一方で短所を聞くと、「十分な裏付けを取らずに物事を進めてしまう」とか「データ収集や裏付けに時間をかけてしまうので、スタートが遅い」といったように、全く違う答えが返ってきます。
これらの短所を面接で聞くことで、私達面接官は、「実際の業務にあたり、トラブルや顧客から予期せぬ依頼がきたときにどう対応してくれそうか」を想像することができます。
先ほどの例で続けると、「十分な裏付けを取らずに物事を進めてしまう」人は、「うっかりミスをする可能性があるものの、顧客対応に求められるスピーディーさを持っている」と捉えることができます。一方「データ収集や裏付けに時間をかけてしまうので、スタートが遅い」人は、「顧客対応で求められるスピーディーさは持っていないものの、そもそもミスのない正確な仕事ができる」と捉えられますね。あとはその短所に対し、実際に就活生本人がどう向き合っているかを聞いたうえで、最終的に求める人物像にマッチするかを判断していくようなイメージです。

もちろん、短所への対処法を聞くことにより、そもそも言語化できるところまで自己分析をできているかや、向上心や基本的な課題解決能力は問題ないかを確認するという側面もあります。
とはいえ、やはり「実際に採用したときにどのような活躍をしてくれそうか知るため」というのが、面接で短所を聞く一番の理由ですね。

面接で短所を聞かれたら、どう答える?

──なるほど。面接で落とすために短所を聞いているわけではなく、就活生をより深掘りするためということなのですね。しかし就活生からすると、面接で自分の短所を話すと、マイナス評価につながるのではないかという心配があると思います。面接で短所を伝えるにあたり、望ましい答え方はありますか?

西田:まず先に、短所を話したからといって、それだけで評価を下げたり、落としたりすることはありません。逆に変に自分をよく見せようとぼやかした答え方をすると、かえってその就活生の人となりが分からず、評価のしようがない=場合によっては落とさざるをえないということになりかねないのです。そもそも私達面接官から質問していますし、端的に自分の短所を伝えていただければ問題ありません。

そのうえで、面接で短所を答えるにあたり、望ましい答え方・望ましくない答え方があることも事実です。たまにWeb上の記事や動画で、「短所を伝えたら落ちる」という趣旨の内容が散見されます。正しくは「短所を答えたから落ちた」でなく、「短所を答えるにあたり望ましくない答え方をしたから落ちた」です。

では、面接で短所を答えるにあたり、望ましい答え方をまずはお伝えします。それは、「明確に短所を答えるとともに、それを克服するためにどのような意識や取り組みをしているか回答すること」です。
実際に就活生との面接で短所について聞いたとき、上手な答え方の例として「人見知りが短所なので、なるべく人と接する機会の多いアルバイトをしています」という話をしてくれた就活生がいました。このように、明確に短所を理解していると同時に、具体的な改善のための行動も伝えてもらえると、非常に納得感があります。

逆に面接で短所を答えるにあたり、望ましくない答え方は「仕事において全く関係ない短所や、仕事において致命的となるような短所を答えたり、短所をそのまま放置していると受け取られるような回答をすること」です。
例えば「運動が苦手」とか「背が低い」等と答える就活生は、質問の本質を捉えられていないなと感じます。最初にお話しした通り、短所について質問する理由は「実際に採用したときにどのような活躍をしてくれそうか知るため」です。ですので、仕事に全く関係ない短所を話されても、就活生の人となりは見えてきません。この辺りは、短所を聞くと同時に、基本的なコミュニケーションを取れるかどうかという点にもつながってきますね。
次に致命的な短所だと、例えば遅刻癖や寝坊癖があるというようなものですね。これらを聞くと、「そもそも採用した後でリスクがある」と、私達面接官はどうしても考えてしまいます。遅刻癖なら、「大事な商談の日に遅刻して、顧客の信用を失うかもしれない。その結果、当社に損失を与えるかもしれない」といった具合ですね。
最後に短所をそのまま放置していると受け取られるような回答ですね。例えば先ほどの人見知りの例でいくと、「なるべく人と接する機会の多いアルバイトをしています」というような、改善に向けた活動の部分を話していないようなパターンです。この場合、面接官によっては「向上心に欠ける=当社において利益をもたらす人材になりえない可能性がある」と考えたり、「短所をそのままにしているということは、もし採用した後で、その短所で何かしら問題を起こすのでは」と考えるケースがあります。

ですので就活生の皆さんは、面接で短所を答えるにあたって、「社会人になった時どんな風に仕事をしていくのかを、面接官は想像するために聞いてきている」という点を意識していきましょう。その点を意識しつつ、短所の改善への取り組みと一緒に話せば、マイナス評価になるということはないと思います。

面接で短所を聞かれてもいいように、どう備える?

──一言で短所の答え方といっても、その中で良い答え方と良くない答え方があるのですね。ちなみに急に短所を聞かれたりすると、やはり就活生としては焦ってしまいますよね。面接で短所を聞かれてもいいように、あらかじめ準備しておくべきことはありますか?

西田:大前提として、急に面接で短所を聞かれても焦らないためには、事前の準備がものを言います。短所を聞かれてもいいようにするということは、短所をあらかじめ把握しておくということです。このためには、事前準備として「自己分析」「他己分析」「企業研究」の3つが大きな柱となっていきます。

まずは自己分析からみていきましょう。これは過去に実際に失敗してしまった経験や、後悔していることを整理して、自分の短所とは何なのかを探っていくことです。もしくは、長所と短所は表裏一体という面を持ちますので、普段だったら自分の長所になりえたものが、悪い意味で作用してしまった出来事を振り返ってみるという方法もあります。例えば、「普段からちょっとした一言でその場を盛り上げることが得意」であっても、時に「場を和ませようとした言葉が、逆に余計な一言になってしまい、かえってギクシャクしてしまった」ということがあったという具合ですね。
ただしこの場合、長所を過剰に裏返すことは、かえってマイナスイメージです。例えば元々「協調性」を自己PRしていた学生が、「皆の話を聞きすぎてしまうのが短所」と答えること自体は問題ありません。しかし「だから協調性があります」というニュアンスの話に着地させてしまうと、面接官から「そもそも短所だと思っていない=自分に都合の良いことしか話す気がない」「短所を短所として認識できていない=成長行動があまり取れていない」という評価をされかねません。ですので、長所を裏返す際は、この点に注意しましょう。

次に他己分析です。これは周囲の人に、自分の短所について聞いてみるということです。世の中に短所のない人はいません。しかし、短所が思いつかないという人は結構大勢います。そんな時、自分のことをよく知っている人に話を聞いてみることで、人間関係や失敗経験、もしくは人と意見がすれ違ってしまった等、今までの経験の棚卸しをすることができます。

最後に企業研究です。これは、志望企業の求める人物像と自分を照らし合わせ、自身に足りないと思う部分は何かを整理していく方法です。例えば「長期的な視野で物事を捉えられる人」という求める人物像に対し、「自分は今までの経験で、長期的な視野で物事を捉えている経験はあったか?」「もしなければ、短期的な視点で活動したことで、失敗した経験はないか」を棚卸ししていく形です。ただし、過剰に求める人物像に合わせて、無理にエピソードを作り出す必要はありません。短所を探り出す参考として、求める人物像をきっかけにしてみるという形が望ましいでしょう。

なお、こういった事前の準備を通し、「短所がたくさん出てきてしまった」ということもるかもしれません。この場合、必ずしも全ての短所を突き詰める必要はありません。応募している企業の事業内容や仕事内容、求める人物像等を考慮すれば、短所も自ずと限られてくると思います。
また、短所ばかり多く見つかってしまうという人は、長所を見つけられなくて悩んでいるケースも多いと思います。その場合、先ほどと逆で、短所の裏返しに長所として発揮された場面を掘り起こしてみましょう。
そもそも長所・短所というのは、各個人の特徴に過ぎません。関わる人や出来事によって、同じ特徴であったとしても、長所として発揮される場合もあれば、短所として発揮される場面もあるというわけです。ですので、まずは長所・短所で括らず、自分の特徴を把握してみましょう。あとはその特徴が長所として発揮されたエピソード、短所として発揮されたエピソードという形で細かくみていくことで、長所・短所両方の把握ができると思います。

さいごに

──最後に、就活生にメッセージをお願いします。
短所を考えるのは、自分を理解する上でとても有意義な時間です。企業は、この質問を通してその学生の客観的視点、向き合い方、適性などを見ています。とはいえ、あまり重く考えすぎずに、仕事と関係しそうなもので、比較的改善しやすいものをチョイスすると良いと思います。

とはいえ長所と短所は、面接で聞かれる、聞かれないに関係なく、一度自己分析を含めて考えてみることが大事です。
就活は、内定を取るだけのものでなく、今後の社会人生活におけるファーストキャリアを決めるための活動です。ですので、長所・短所の把握も含め、できる限りの準備をしておくことで、より良いファーストキャリアを踏み出せる可能性が高くなると思います。

就活全般の準備は、未来の自分への投資だと思って、活動をしてみてください。皆さんがより良い就活をできるよう、応援しています。

プロフィール:西田祐樹 [株式会社文化放送キャリアパートナーズ キャリア支援部]
2010年より現職。国家資格キャリアコンサルタントとして、10年以上に渡る各大学での講演や選考対策講座を通じ、多くの就活生を指導。就職を取り巻く環境を、採用側/就活生側両方の視点から読み解きフィードバックすることで、学生が後悔しない就職活動をできるよう後押ししている。また、自社内での採用面接官や、他社の採用活動におけるアドバイザー等、その知見を活かし広く活躍している。
※プロフィールは取材当時のものです

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