「面接マナーができていないと、即不合格になる?」「どこまで面接マナーを身に付けていればよ
「面接マナーができていないと、即不合格になる?」「どこまで面接マナーを身に付けていればよい?」
知っていると知っていないとでは、合否を左右するほどと思われがちな面接マナー。ところが、「就活生は気にしているけれど、実は面接官は気にしていない」ということも。
今回は現役の採用担当者として、株式会社文化放送キャリアパートナーズ キャリア支援部 櫻井美穂氏が、「面接マナーで気にしなくてもよいこと」「面接マナーとして押さえておいてほしいポイント」「面接マナーでマイナス印象になるもの」等々を、「採用担当者視点」から伝授します!
はき違えないようにしよう!面接マナーの目的とは?
──本日はよろしくお願いします。よく「面接マナーができていないと不合格になる」とか「面接マナーに反すると評価がマイナスになる」という心配をする就活生もいますが、実際のところ面接マナーとは何なのでしょうか?
櫻井:面接マナーというと、少しでもマナーに反すると、即座にマイナス評価を下されるという印象を抱いている就活生が、多く見受けられます。私達面接官からすれば、もっと単純に「第一印象」「円滑にコミュニケーションをするためのもの」です。「一言一句、一挙一動全てで、面接マナーが完璧でないから0点」ということはありません。
ただ、面接マナーについて就活生が気にしているポイントと、私達面接官が気にするポイントは、同じ事柄でも少し違ってきます。
例えば言い回しだと、就活講座等で指導されているのか、「自己紹介で『●●大学から参りました。櫻井と申します』と言うのはNGで、『●●大学の櫻井です』と言わなければならない(そうしないと落とされる)」と思っているような就活生が多く見受けられます。でも細かい言い回しの違いで、私達面接官が、いちいち減点するということは一切ありません。大事なのは相手にちゃんと情報が伝わり、コミュニケーションを取れることです。そんなことを気にするよりは、ちゃんと相手に聞こえる声量で、はっきり言うことを心掛けてくれるかを、私達面接官は重要視します。
就活生の皆さんに心がけておいてほしいのは、「面接官に不快感を与えないよう」身だしなみを整えたり、行動することです。
第一印象でマイナス印象を面接官に持たれてしまうと、面接の本題であるコミュニケーションで、自身が余計な損をする可能性が高まります。面接に限らず、皆さんも第一印象の悪い相手と、積極的にコミュニケーションを取りたいとは思いませんよね。
もちろん、過剰に「面接官に不快感を与えない」ことを気にして行動する必要は一切ありません。けれども「本題である面接の会話を円滑に行うためのもの」という点は意識して、身だしなみや行動に気を付けるとよいと思います。
押さえるのは4つだけ!押さえておいてほしい面接マナーとは?
──面接マナーの中で、特に押さえておいてほしいマナーはありますか?
櫻井:対面面接・オンライン面接どちらも共通で抑えておいてほしいマナーは、「挨拶(入室/退出時等)」「声/表情」「話し方」「服装」ですね。
まず1つ目の挨拶は、入室時の「本日はよろしくお願いします」とか退出前の「本日はありがとうございました」といった、「相手へのちょっとした配慮・マナー」として考えてもらえると良いかなと思います。
そうした配慮が就活生側から見受けられると、面接官としても「採用した場合、社内でも円滑にコミュニケーションができそうだ」とか「採用した場合、取引先とスムーズに話を進められそうだ」という想像をしやすいです。
とはいえマナーの形に囚われすぎて、難しく考える必要はありません。
たまに面接会場への入室時、挨拶の行動パターンを悪い意味で固定化し、結局混乱して挙動のおかしくなってしまう就活生がいます。例えば「まずノック→ドアを開ける→そこで一度最敬礼で挨拶→ドアを閉める→再び最敬礼で挨拶」というような感じですね。神社の参拝ではないのですから、細かい挙動よりも失礼にならない程度の心掛けで十分です。
過剰な丁寧さは、慇懃無礼な印象を持たせてしまいますので注意しましょう。
次に声/表情です。
基本的には、ちゃんと聞き取れるように、はきはきと話すことを心掛けてほしいですね。ちゃんとコミュニケーションを取ろうとする意思表示になりますし、単純にゴニョゴニョと小さい声だと、聞きづらさゆえちゃんと伝わらない可能性があります。相手と正しくコミュニケーションを取れるよう配慮するというのも、立派な面接マナーです。
あと、表情は直接的なマナーというわけではありませんが、会話の中での自然な笑顔を出せると、より伝わる可能性が高まることもあります。なので、笑顔も少しイメージできると、プラスアルファでよりよくなると思います。
3つ目に話し方です。
これは、「限られた時間の中で、過不足なく端的に伝える」という点を意識してみてください。例えば話す際に結論から話すと、短い時間で要点を相手に伝えることができます。先ほどの声/表情と重複とする部分もありますが、面接官に分かるよう話すことは、コミュニケーションにおけるマナーです。
また、分かりやすく話をするという点で、専門用語の使いどころや伝え方には、気を付けるようにしましょう。
IT系や理系の就活生は特に注意してほしいのですが、面接官は前提として、その分野の専門用語の意味を知りません。ですので基本的には、専門用語を使わずに伝えることを心がけましょう。とはいえ専攻内容や研究内容によっては、専門用語をどうしても使わないと説明できない場合もあると思います。その際は、簡単に専門用語に対する説明を一言添えれば問題ありません。お互いに限られた時間の中で面接をしますので、一言一句全部を説明するのではなく、要点を過不足なく話せれば、しっかりと面接官に伝わるはずです。
この辺りは、相手の立場に寄り添った話し方をできるかや、情報を取捨選択し、必要なことを伝える能力があるかの評価にもつながっていきます。
最後に服装です。
これは、相手に不快感を与えないことを意識しましょう。私達面接官は、特に清潔感があるかをかなり気にしますね。なぜなら「入社した後、円滑に業務ができそうか」や「一緒に働きたいと思うか」という点を面接官は見るからです。
例えば面接会場にド派手な金ぴかのスーツや、漫画の悪役のごとく、ドクロのプリントされているネクタイを身に着けて来社した就活生がいたら、「この人を採用したとして、仕事を任せて大丈夫だろうか」とか「取引先の人が見たらどう思うだろうか」といったことを想像します。金ぴかのスーツやドクロのネクタイは極端な例ですが、相手に不快感を与えないというのも面接マナーですので、やはり清潔感は重要です。
ですので、服装で変に目立つ必要はありません。メイクならナチュラルメイクが無難ですし、持ち物や鞄も無地やシンプルなデザインのものが無難です。よく就活生から「ネクタイの色」や「パンツスーツorスカートスーツのどちらがよいか」という質問を受けることも多いですが、無難な範囲であればネクタイの色・パンツスーツorスカートスーツを基本的に気にする必要はありません(=どの色のネクタイでもOKですし、パンツスーツ・スカートスーツどちらでも問題ありません)。
無難という言葉は悪いように捉えられがちですが、清潔感=どこに行っても損をしない格好という意味で、面接マナーにおいて最良の選択です。
もちろん見た目で勝負したかったり、周りと違うという点をアピールしたい場合、メイクや服装を派手にするというのは間違いではありません。しかし面接マナーの点のみならず、面接というフォーマルな場で万人受けすることはないですし、場合によっては明確に損をしますので、気を付けるようにしましょう。
CHECK:鞄について
服装の話の中で付随すると、鞄について「面接会場で、鞄を置く位置は椅子の右側or左側?」という質問を、よく就活生から受けます。結論から言うと、特に決まりはありません。ご自身の利き手や会場レイアウトに応じて、置きやすいほうに置いていただいて構いません。むしろ位置を気にするよりは、その鞄が面接というフォーマルな場で相応しいデザインかや、置いたときに倒れないよう自立するタイプの鞄か等を気にしたほうがよいですね。
先ほどお伝えした通り、面接マナーである程度の第一印象は決まります。そんな時バタバタ倒れるような鞄や、明らかにその場にそぐわないデザインの鞄で臨まれると、面接官は「この人を採用したとして、スムーズに業務をこなせるだろうか」とか「もしこの人を採用したとして、取引先に悪い印象を与えないだろうか」という想像を、どうしてもしてしまいます。
ですので、「余計な想像」を面接官に抱かせないためにも、そういった点に注意すると良いですよ。
これはNG。面接官がマイナス評価をつける面接マナーとは?
──こう見ると、学生の気にする面接マナーと、面接官の気にする面接マナーは大分違いますね。では、明確に「これはマナー違反」というのはあるのでしょうか?
櫻井:まずは、ここまで話してきたような「挨拶」「声/表情」「話し方」「服装」という点を、面接マナーとしてある程度気を付けてほしいです。この4点ができていないと、マナー違反になるのかなと思います。
さらに1点、気を付けないと明確にマナー違反となるのは「面接の進め方(話の進め方/組み立て方)」ですね。
具体的には、面接の進め方として「就活生側でわざと情報を小出しにして話を進めていくような形」を取る人がいるのですが、マナーとしてかなり気になりますね。
自己PRやガクチカ(学生時代に力を入れたこと)、志望動機等を話す際、必要な情報をあえて話さなかったり、詳細を深掘りすべく面接官から質問した際、たった一言で終わらせてしまうといったパターンです。
YouTubeの動画やWebの記事で見受けられる「面接官からの質問には簡潔に答えるべし」「面接官に質問をさせたら勝ち」を鵜呑みにしているのか、実際の面接の場でも、こちらからの質問に対し、わざと一問一答のような形で話を進めていこうとする就活生がかなりいます。
つまり情報を小出しにしながら、随所随所に自己PRを挟んで面接官の印象に残ろうという意図なのでしょうが……はっきり言って「面接官からの質問時間を使って自己PRしたい」という風に映ることもあり、あまり良い印象ではありません。
面接官はたしかに質問をしています。しかし一問一答のアンケートを取っているわけではなく、コミュニケーションを取ろうとしています。時間も限られているのに「いちいち聞かれないと答えない」というのは、面接マナーどうこう以上に不誠実な印象を面接官に与えます。また、「相手とコミュニケーションを取る能力がない」「聞かれたことに対し、必要な情報を伝える能力がない」と判断せざるを得ませんので、マイナスの評価にしかなりません。
「聞かれたことに対し、まず就活生が面接官に対し過不足なく情報を伝える→その中で面接官が気になったポイントをさらに深掘りして質問する→質問に対し答えていく(必要に応じて、最初に情報を伝える際にカットせざるを得なかった部分も追加する)」という形で進めていったほうが、お互いに効率的かつスムーズにやり取りができます。
巷には色々な「面接テクニック」とか「面接のコツ」と称される情報があふれています。もちろん有意義なものもある一方、面接官からみて逆に面接マナー違反であったり、マイナス評価せざるをえないものもあります。全ての情報を鵜呑みにせず、「相手に不快感を与えないか」「それはスムーズなコミュニケーションの方法として相応しいものなのか」という点を軸に、面接マナーに反していないか意識してほしいですね。
さいごに
──最後に、面接マナーについて、就活生の皆さんにメッセージをお願いします。
櫻井:服装や振る舞いを含め、お伝えしてきた5点(押さえておいてほしいマナー4点+気を付けないとマイナスにつながるマナー1点)のポイントは、「相手に不快感を与えない」ということに軸足を置いています。この軸足が面接マナーの基本です。理由として円滑にコミュニケーションを取ることにつながっていくためです。
とはいえあくまで面接「マナー」ですので、最初にお伝えした通り「100点満点の面接マナーではなければ即不合格」はありません。難しく考えず、「自分がされて嫌だと思うことはやらない」「相手の立場に立って考えてみる」ということを意識すれば、自然と面接マナーは及第点に行き着きます。
もし、面接マナーが分からない場合は、周囲の大人やキャリアセンターに聞いてみるのも手です。ただ、それだけでなく自分の中でも「これから仕事をしていくうえで」どういう服装や振る舞いだったら問題ないかを考えて、少しずつ実践していってみてください。
面接マナーということだけでなく、今後社会人になったときにも役立つ考え方です。頑張ってください!
プロフィール:櫻井美穂 [株式会社文化放送キャリアパートナーズ キャリア支援部]
2018年より現職。「企業研究」「四季報の読み方」「自己分析」「エントリーシート対策」「面接対策」等、就活生が躓きがちな部分を、大学での講座や個別相談を通じ1500人以上に指導。きめ細やかで当事者に寄り添った指導法から、大学就職課・キャリアセンターからも高い支持を得ている。また、自社内の採用業務や他社採用活動アドバイザー業務等、広く活躍している。
※プロフィールは取材当時のものです
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