「就職するなら大手以外はありえない」「ブランドも知名度もない企業はちょっと……」
それ、大手病の初期症状かも。「大手」について、漠然としたイメージだけで話を進めていませんか?そのまま就活を続けていくと、結局内定をどこからももらえないという事態も……。
イメージだけで進めるのでなく、就活において必要な考え方を学び、大手病を予防・克服していきましょう。
大手を目指す人の割合・理由とは?
そもそも、大手を目指す人はどのくらいいて、目指す理由は何なのでしょうか。
延べ5269人が回答しているブンナビ×読売新聞(会員数:約10万人)よる月例調査によると、「あなたは就職先として大手企業にこだわりますか」という設問に対し、「大手企業しか考えていない」平均7.3%「できれば大手企業に就職したい」平均50.3%と、計6割近くの学生は大手に就職したいと考えていました。
大手を志望する学生が多数派というわけですね。
次に大手を志望する理由をみていきます。
同調査では、大手企業にこだわる理由を自由記述で聞いており、具体的な声には以下のようなものが挙がりました。
▼大手企業にこだわる理由(自由記述)
「安定性のある会社で勤めたい。 また貴重な新卒カードを持っている時期に大企業に入ることは転職市場でも有利なように思えた」(慶應義塾大学・文系・女性)
「ステータスのため」(京都工芸繊維大学・理系・男性)
「大手企業の資本力で新しい事業をどんどん生み出していくような挑戦がしやすいから」(東京外国語大学・文系・女性)
「自分がブランド名を背負う責任感を持って働きたいから」(関西外国語大学・文系・女性)
「福利厚生や教育制度がしっかりしている」(九州大学大学院・理系・男性)
「安定性と高い収入が期待できるから」(東京農業大学・理系・女性)
安定性/将来性や福利厚生、ブランドやステータスといった理由が寄せられました。
そもそも大手って何?大手病にご注意
では次に、学生の考える大手とは何なのでしょうか。
先ほどのブンナビ×読売新聞(会員数:約10万人)による月例調査では、「この会社は大手だと思う理由(複数選択式)」を聞いています。その中で最も多かったのが「会社名や製品・サービスの認知度」72.0%でした。
つまり大まかに言ってしまうと、学生にとっての大手とは「よく名前を聞く・誰もが知っている会社」ということになります。
一般的に「よく名前を聞く・誰もが知っている会社」とは、BtoCの企業(企業が一般的な消費者にモノ・サービスを提供する形)を指すことが多いです。
とはいえ「よく名前を聞く・誰もが知っている会社」だけが大手企業というわけではありません。「あまり知られていないけれど実は大手」というBtoB(企業が企業にモノ・サービスを提供する形)の企業も数多く存在します。
例えば機械系の装置や部品で世界シェアNo1メーカーというようなパターンです。とはいっても、「装置や部品なんていくらでも代わりはあるでしょ」「要するにそれって、よく名前を聞く・誰もが知っている会社の下請けでしょ」と思うかもしれません。
しかし実は「そのメーカーでしか作れない高い技術力で作られた装置・部品」「よく名前を聞く・誰もが知っている会社は、その会社との取引がないと最終的な製品を完成させられず、商売が成り立たなくなる」というように、「代わりのいないオンリーワンの存在」というケースが多くあるのです。
このことを知らずに、「よく名前を聞く・誰もが知っている会社」だけが大手だと思っていると、それ以外の選択肢を狭めてしまうという危険性があります。
このように、よく名前を聞く・誰もが知っている大手企業だけに意識が向いてしまっている状態を、俗に「大手病」と呼びます。
大手病はこうやって予防・克服しよう
もちろん、大手を志望すること自体が悪いというわけではありません。しかし、「自分が働くにあたって、なぜその企業がよいのか」を明確にしておかなかれば、そもそも大手企業から内定をもらうことはできません。なぜなら企業が欲しがる人材は、ブランド・知名度で集まってきた人材でなく、「入社後にモノ・サービスを提供する側として、活躍が期待できそう」な人材だからです。
大手病になってしまうと、どうしてもこの視点が欠けてしまいがちです。
大手病にならないためには、「企業のブランドや知名度で考えるのではなく、自分の実現したいこと(≒モノ・サービスを提供する側としての視点)から逆算して会社を選ぶようにすること」です。
そして、その企業が自分の実現したいことと合致しているかを調べるための業界・企業研究が重要となります。
具体的には、企業HPやパンフレットを見ておくことはもちろん、『業界地図』『就職四季報』『会社四季報』『CSR企業総覧』といった客観情報から、企業の事業の強みや業界の立ち位置等を調べていくことが第一歩となります。
これらの書籍を自分で購入したり、大学のキャリアセンター・図書館から借りる等して、必ずチェックしておきましょう。また、書籍の費用を節約したいという場合、ブンナビ×読売新聞のように、『会社四季報』『CSR企業総覧』の内容を、分かりやすい図表で無料閲覧できるサイトもありますので、これらも上手く活用していきましょう。
このように事前に業界・企業研究をしておくことで、「自分の実現したいこと(≒モノ・サービスを提供する側としての視点)」がはっきりしてくるはずです。志望動機もより深めることができるため、結果として大手に限らず選考の通過率も上げることができるはずです。
CHECK:入口は「大手だから」でも問題ない
業界・企業研究を始める最初の入口として、「よく名前を聞く・誰もが知っている会社」から調べてみるというのは、全く問題ありません。
ただ、その際関連する情報も一緒に調べていくようにしましょう。例えば「主力の事業内容は何かを調べる」だけでなく、「ライバル企業の情報も同じように見ていく」「関連企業や取引先を調べていく」等で、より自分の実現したいことに合致する企業を探しやすくなってきます。
もちろん、業界・企業研究と自分の実現したいことを突き詰めた結果、大手企業を目指すことになったという場合は全く問題ありません。
本当によい就活をしよう
このように、大手病にかからないためには、「自分の実現したいこと」という軸をもとに、事前の業界・企業研究をしていくことが重要ということが分かりましたね。
先ほども少し述べた通り、自分の実現したいことをもとに業界・企業研究をすることは、最終的に志望動機を深めることにつながります。これにより、企業の選考通過率も上げることができるはずです。
ただし、業界・企業研究には時間がかかります。昨今の就活スケジュールだと、秋以降はES・面接対策に追われることになりゆっくり業界・企業研究をしている時間を取りづらくなります。
4年生大学/大学院に通っている場合は、学部3年生/院1年生の春頃から徐々に業界・企業研究を進めていくとよいでしょう。
目先のブランドや知名度だけを追うのではなく、本当に自分の実現したいことを軸に据えることで、後悔のない就活ができるはずです。
大手病を予防・克服しつつ本当によい就活をしていきましょう!
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