内定に一歩リード『就活進め方ガイド』

ガクチカ「受かる・落ちるの違いって?」作り方・エピソードほか完全解説!

img_20022 就職活動

「どうやって作ればよい?」「ガクチカなんてないよ……」「エピソードが周りとかぶる……」「そんな大した成果なんてないよ……」等々

就活において、多くの学生を悩ませる「ガクチカ(学生時代に力をいれたこと)」。そんなガクチカを完全解説!評価されるポイントやNGポイントを含め、これを読めばガクチカを理解できる!

ガクチカって何?

「ガクチカ」とは、「学生時代に力を入れたこと」です。一般的に企業の選考において、「志望動機」「自己PR」と並び、エントリーシート(ES)や面接で問われることの多い項目です。
実際、延べ6,000人以上の学生が回答しているブンナビ×読売新聞(会員数:約10万人)による月例調査でも、以下のような結果が出ています。

質問:インターンシップ選考のESでどのような設問がありましたか。(複数選択)
学生時代に力を入れたこと70.8%
自己PR70.0%
志望動機65.5%
「インターンシップを通してやってみたいこと/学びたいこと」59.3%
「あなたの長所/短所」29.2%
「今まで最も困難だったことと、それを乗り越えたプロセス」23.5%
「他者を巻き込み取り組んだエピソード」16.6%
「選考の過程でES提出はなかった」12.6%
「挫折経験」9.2%
「その他」4.9%

上記の質問はインターン選考関連であるものの、採用選考においても、この3点は王道といえるでしょう。

注意!こんな人は落ちる

「部活で全国大会優勝しました」
「コンクールで最優秀賞を受賞しました」
「アルバイトで売り上げ全国一位になりました」
「100人のメンバーがいる学生団体を、トップとしてまとめあげました」
「ゼミ長としてメンバーをまとめ、ゼミを円滑に進めました」
「TOEIC900点以上です」……etc

就活においてこうした「輝かしい功績を持ったすごい人」が、数多くの内定を、ごっそりかっさらっていくと思いがちです。

しかし、この人達が受かるかどうかに、輝かしい功績は一切関係ありません。なぜなら、採用担当者の視点は「この人を採用したら、将来的にどんな活躍をしてくれそうか」だからです。そのため採用担当者は、「輝かしい功績」そのものでなく、「結果に到達するまでの過程(目指そうとしたきっかけ/背景・苦労した点・工夫等)」を聞きたがります。過程を聞くことで、「この人は課題や困難に対峙したとき、こんな方法で解決していきそうだ=入社後、こんな活躍をしてくれそうだ」という見込みを立てることができるからです。

逆にいうと、採用担当者からすれば「輝かしい功績」という「結果だけ」を示されても、「過程」から見えてくる「入社後にどんな活躍をしてくれそうか」は当然分かりません。そして分からない以上評価できないので、落とさざるをえません。

つまり、落ちるガクチカとは「結果だけ伝えている」ものなのです。

例えば「部活で全国大会優勝しました」という結果だけを伝えることは、すなわち「部活で全国大会優勝しました。だから採用してください」と言っているようなものです。
採用担当者からすれば「たしかに全国大会優勝はすごいけれど、当社の業務に結び付く功績ではないし、そもそも別のベクトルの話だよね」となります。

結局のところ、どんなに”輝かしい功績を持ったすごい人”であったとしても、この部分をはき違えていると、選考に落ちてしまうのです。もちろん、「輝かしい功績」を題材にすること自体は問題ありません。ただしそれ”だけ“だと落ちますので注意しましょう。

ここまでで、「すごい人でも落ちるのだから、自分ではなおさら無理」「自分には輝かしい功績なんてない」「学生時代に力を入れたことなんてない」という方もいるかもしれません。そんな方も、採用担当者に印象を残し、受かる確率を格段に上げる方法があります。次はその方法をみていきましょう。

必見!こんな人が受かる

では、採用担当者に印象を残し、受かる確率を格段に上げるにはどうすればよいのでしょうか。

先ほども述べた通り、採用担当者は「結果に到達するまでの過程」を聞きたがっています。そのため、題材そのものはあまり重視されません
すなわち、普段の学生生活で行ってきた学業や部活/サークル、アルバイトや趣味等をテーマにすることも全く問題ないといえるでしょう。「全てを犠牲にして本当に死に物狂いでやったことレベルでないと、力を入れたこととは言えない」と、難しく考える必要はありません。また極端な話、失敗談でも構いません。

良い例として、サークル活動を題材としたガクチカを見てみましょう。次の文章は、株式会社文化放送キャリアパートナーズがES添削キャンペーン※を行った際、実際のガクチカとして学生から提出されたものです。
※現在このキャンペーンは終了しています

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私は9つのテニスサークルをまとめる連盟の会計係として、予算アップに力を入れ取り組みました。会計係を引き継いだ際、ほとんどお金が残っておらず立て直しが難しい危機的状況にありました。毎月行われる会議では参加費を上げることが解決策として挙げられていましたが、私は連盟員の減少とモチベーションの低下につながると考え、所属人数を増やすことを提案しました。
そのために、協賛企業を集めるべく挨拶周りをしたり、3カ月に1度の交流イベントを開催したり、大会後に行われるレセプションパーティを豪華なものに変えたりしました。
結果、サークル内の交流が増えたことで所属人数が1年間で100人増え、来年の予算も300万円残すことに成功しました。この経験から、課題解決のために考えること、達成することの面白さを学びました。
(中央大学・文系・男性)
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この例だと、当時の詳細な状況に加え、サークル活動を通して気付いたことや、工夫したこと、学んだこと等の過程が明確です。これにより採用担当者は、「入社してからも同じような形で課題を解決していくだろう」という想像をめぐらせることが可能です。
しっかりと採用担当者が評価をできるため、受かる確率を格段に上げることができるでしょう。

つまり、受かるガクチカとは「過程を話すことで、あなたが将来的にどんな活躍をしていきそうか伝える」ことなのです。

ただし、完璧に過程を話したからといって、必ずしも受かるわけではありません。「学生が入社してからやりたいことと、会社の主力の事業内容が違う」「求める人物像とそもそも違う」等の理由で落ちることも、当然あります。
しかしながら、採用担当者から「そもそも評価自体できない(=即不合格)」と判断されるのと、「評価したうえで合格を出すか検討」では、雲泥の差です。受かる確率を上げるためには、過程を必ず話すようにしましょう。

CHECK:単なる自虐エピソードにならないように
失敗したことを題材にする際は、単に「失敗しちゃいました」という自虐エピソードにならないよう注意しましょう。「結局自虐だけ伝えて、何を言いたいのだろう」とか、「この人は失敗から学ばない。もし採用したら、ミスをし続けて会社に損害を与えるかも」といった誤解を受ける可能性があります。

「目指していた結果にはならなかったけれど、気づいたこと・学んだことが多くあり実りあるものだった。この経験から気づいたこと・学んだことを活かしていきたい」といった形で、前向きに伝えることが重要です。

「学生時代に力を入れたことなんてない」というあなたに

Google等で検索すると、学生時代に力を入れたことについて、「人事は学業・部活・アルバイトの話題に飽きている」「学業・部活・アルバイトの話をすると落ちる」「皆と同じ話題だと受からない」といったページが出てくることがあります。

その理由を探る前に、今度は先ほどの株式会社文化放送キャリアパートナーズのES添削キャンペーンで提出された、別の例をみてみましょう。

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私は学生時代研究に最も力を入れました。
私が現在行っている研究は、研究室の先輩のテーマを引き継いでいるものではなく、新たな試みのテーマでした。そのため、同期と比べて新たに実験系を組み立てなければならないところが多く、なかなか実験がうまく進みませんでした。
そこで関連する多くの論文を読み、それぞれの方法を比較検討することで一番最適だと思ったものを選びました。再検討した方法で実験を行ったところ、結果が出て次の段階へ進むことができました。
このことから、同じ方法でやり続けるのは確かに良いことですが、何か不具合が起きてうまくいかなかった場合、関連した情報をできる限り収集し、最初から検討しなおすことも大切なのだと学びました。
(東京理科大学・理系・女性)
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きれいにまとまったガクチカですが、研究内容やテーマについて、具体的に書かれていません。これこそが、「人事は学業・部活・アルバイトの話題に飽きている」「学業・部活・アルバイトの話をすると落ちる」「皆と同じ話題だと受からない」といった話が出てくる所以です。
抽象的な表現だと、良くも悪くも均一化されるため、実際の状況や具体的な気付き・学びが見えてきません。そのため、そのため採用担当者から「他の人と同じようなガクチカ・誰にでも当てはまるガクチカ=評価しようがない(なので落とさざるをえない)」と受け取られる可能性があります。

そこで、自身の体験や当時のシチュエーションをより詳細に書いていくとどうなるでしょうか。
次の例は、先ほどのガクチカをもとに、詳細を追加したものです。

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私は学生時代、燃費の良い飛行機の開発についての研究に最も力を入れました。
現在行っている研究は、イルカの体構造を参考に空気抵抗を減らすという、研究室の先輩のテーマを引き継いでいるものではなく、昆虫の体の構造をもとに空気抵抗を減らしていくという、新たな試みのテーマでした。そのため、同期と比べて新たに実験系を組み立てなければならないところが多く、なかなか実験がうまく進みませんでした。昆虫の体の構造を参考に空気抵抗を減らしていくと、長距離移動の観点では、最終的に燃費効率が悪くなってしまったためです。
そこで、昆虫に限らず、飛ぶことのできる生物全般について関連する多くの論文を読み、それぞれの方法を比較検討することで一番最適だと思ったものを選ぶことにしました。中でも渡り鳥の体の構造は、長距離の移動に優れていることが分かりました。
そのうえで渡り鳥を参考に、2か月かけて作った飛行機の模型を使って実験を行ったところ、結果が出て次の段階へ進むことができました。
このことから、ある手法で行き詰まった際、関連した情報から発想を転換し、最初からやり直すことも大切なのだと学びました。

※提出されたガクチカをもとに当記事編集部が作成。研究内容は架空のものです。
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具体的なシチュエーションや、自分が気付いたこと・学んだことを書いたことで、一気にオリジナリティが出ました。同じような題材であったとしても、詳細を書くことでより採用担当者の印象に残りやすくなります。

このように、同じような「学業」「部活」「アルバイト」等の題材でも、実際のシチュエーションや立場視点/切り取り方や、気づいたこと/学んだこと等は、人によって様です。「似ている題材だから、人事担当者の印象に残らない=受からない」と考えるのではなく、具体的なシチュエーションや、自分が気付いたこと・学んだことを詳細に伝えるようにしましょう。

ちなみに、最初にガクチカを組み立てていく際、まずは可能な限り詳細に、細かく描写したフォーマットを作成しておくと後々便利です。フォーマットがあることで、各企業のESに合わせた形ですぐに書けたり、面接で話すことを整理しておくことができます。時間短縮にもなるのでおすすめです。

CHECK:題材とするエピソードは、いつ頃までのものならOK?
一般的に大学時代のエピソードが望ましいです。
なぜなら高校時代までのエピソードは、採用担当者から主体的なエピソードとして捉えられにくいためです。これは当時の年齢的に、どうしても「周囲の大人からの指導や援助が多分にある」ことが背景にあります。そのため、主体的に責任を持って行動できる大学時代のほうが、エピソードに説得力を持たせられるというわけです。

ただし、「高校時代から始めて、現在も続けている」等の場合は、全く問題ありません。とはいえ、以前からずっと継続しているような場合でも、ガクチカとして伝える際は、大学時代に入って以降のエピソードを取り上げるようにしましょう。

「印象に残る」を、はき違えないようにしよう

「学業」「部活」「アルバイト」等の題材で書く際、少しでも採用担当者の印象に残るよう、話を盛ったほうがいいのかと考える人もいるかもしれません。
しかし、無理に話を盛ったり、失敗したこと(成功に至らなかった/結果に至らなかった)ことを無理やり成功エピソードにする必要はありません

ここまで述べてきた通り、採用担当者は過程を聞きたがっているため、エピソードの壮大さや成否そのものを重視していません
むしろ無理に話を盛ることにより、ガクチカ以外の自己PR・志望動機等で話の矛盾が生じたり、選考が進むにつれ、ボロが出るという危険性があります。

そして話を盛ったことが露呈すると、採用担当者からの心証は当然悪くなります。それだけでなく「選考の場で嘘をつくのだから、もし採用したら横領やミスの隠蔽で、当社に損害を与えるかもしれない」という最悪の形で誤解を受け、不合格になる可能性もあります。

結局自身が損をするだけなので、無理に話を盛ることはやめましょう

ガクチカは、誤解なくあなたを理解してもらうための手段

このように、ガクチカとは「学生時代の結果をアピールするため」のものではなく、「学生時代の経験やそこから得た気付きや学び(過程)を伝え、あなたを理解してもらうためのもの」ということが分かったのではないでしょうか。

就活においては、どうしても内定獲得を目的としがちなため、「周りから一目置かれるよう意識」したガクチカを作ってしまいがちです。
しかし就活とは「内定をもらうため」でなく、「社会人になったとき、良いスタートを切るため」のものです。この前提を間違えると、視野が狭まり内定をもらえないという悪循環にもなりかねません。広い視野を意識するようにしましょう。

本当に良い就活をするため、ここまで述べたことを念頭に、ガクチカを作っていきましょう!

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