就活セミナーやガイダンスでよく聞く「就活の軸」(就活軸)。
「軸と言われてもよく分からない」
「決めないとだめなの?」等々
就活の軸がしっかり定まっていないと、社会人になってから「やっぱりこの会社違うな」「自分のやりたい仕事じゃないな」といった形で、早期離職を招く危険も……。
「社会人になってから後悔した」にならないよう、就活軸の決め方と、その後の動き方を伝授します。
就活の軸って何?決めないとだめ?
一般的に「就活の軸」(就活軸)は、「企業選び・就職活動に向けて、自分が社会人になってやりたい仕事や実現したいことをまとめたもの」です。
自分が働くにあたって何を重視するかや、何をしたいか考えをまとめて、その考えをもとに実際の業界/企業選びや就活を行っていくという流れです。
この就活軸がしっかり定まっていないと、以下のような危険があります。
・実際に希望する企業を決められない。
・企業を選ぶ基準がバラバラのため、自己PRや志望動機をまとめにくい。
・実際に就職後、思っていた仕事内容や条件と違い、早期離職してしまう。
等々……
とはいえ、どうやって就活軸を決めていったらよいのでしょうか。
先輩達の動きを参考にしながら、就活軸の決め方を次でみていきましょう。
先輩は何を軸にしていた?
それでは、先輩達は何を基準に、就活軸を作っていったのでしょうか。
延べ6,000人以上の学生が回答しているブンナビ×読売新聞(会員数:約10万人)による月例調査では、「企業選びの軸について、当てはまるものをすべてお答えください(複数選択)」という質問を行っています。それによると、回答の多い順に次のようになりました。
「やりたいこと」70.8%
「待遇・条件(給与・福利厚生)」53.5%
「社風・雰囲気」49.5%
「志望業界」49.2%
「勤務地・働く場所」41.5%
「ワークライフバランス」40.5%
「大手・安定性」39.8%
「自己成長・活躍」36.5%
「ビジョン・理念」34.9%
「長く働ける」33.9%
「知名度・ブランド」22.5%
「環境・社会貢献」16.2%
等々
このように、「やりたいこと(職種)」と「給与・福利厚生」が大きな軸になっていることが分かります。
就活軸を作るのに、何から始めたらよいか分からないという方は、こうした先輩の動きも参考にしていくとよいでしょう。
例えばスタート地点として、「大学の研究を役立てて仕事にしたい→研究職を調べてみる」というのは、方法の1つです。他にも、「たくさん稼ぎたい」「年間休日は120日以上欲しい」等、自分が働くにあたっての希望条件も、いったん全て挙げてみるのも手です。誰かに見せるためのものではないため、本音で考えていきましょう。
こうして、自分が働いていくうえで重視するものや外せないものを集約し、最終的にその中でも特に何を重視するのかを選り分けていくことで、自分の就活軸が決まってきます。
まずはどう働きたいかやどんな条件がよいか、将来こうなっていきたい等、全て挙げていきましょう。
実際にどうやって軸を決めていく?
「●●部門(自身の目指したい職種)で、年間休日120日以上で、給料が平均よりダントツで高くて、住宅手当や福利厚生も充実していて、かつ研修制度も充実していて、10年後業界トップクラスの人材に育ててくれるホワイト企業がいい」
就活軸を作るにあたり、自身の希望やキャリアプランを挙げていくと、このように「全部乗せセット」みたいになっていきます。
それ自体は問題ないのですが、これをそのまま就活軸とすることはおすすめできません。なぜなら、どれも妥協したくないまま就活を進めようとすると、希望に合致する企業がきわめて少なくなる(もしくは合致する企業がなくなる)からです。
自身の希望ややりたいことを全て洗い出した後は、それぞれに優先順位をつけていきましょう。
具体的には「絶対に外せないもの」「絶対に外せないものが満たせるなら、妥協してもよいもの」といった形です。先ほどの例で考えると、以下のような形です。
※一例です。人によって「絶対に外せないもの」は異なります
【絶対に外せないもの】
●●部門
年間休日120日以上
ホワイト企業
【絶対に外せないものが満たせるなら、妥協してもよいもの】
給料が平均よりダントツで高い
住宅手当や福利厚生が充実している
研修制度が充実している
このように絶対外せないものが、あなたの就活軸になっていきます。この就活軸をベースに、業界や企業を選んでいきましょう。
CHECK:就活軸は定期的に見直そう
「一度決めたら、就活軸を絶対に変えないようにしよう」というのは、自身の選択肢を狭める可能性があります。例えば大学3年生/院1年生の春と冬では、インターンシップへの参加や企業理解を通じ、考えが変わっているかもしれません。そんな時、春の段階で決めた就活軸を無理に通そうとすると、選択肢が狭まったり、モチベーションが上がらない可能性があります。
もちろん、常にあまりにも就活軸がぶれているのは問題ですが、節目ごとに見直して修正する分には全く問題ありません。節目での見直しで、大きく就活軸を変えたという先輩もよくいます。
後悔のない就活のため、時々就活軸を見直すようにしましょう。
就活軸を決めた後は
就活軸が決まったら、次に具体的な業界や企業を調べていきます。このことを「(業界)企業研究」といいます。
企業HPを調べたりすることはもちろん、実際にインターンシップに参加することも、企業研究の一環といえるでしょう。ただ、こうした企業HPやインターンシップでは、企業の本当の姿を全て捉えることは難しいかもしれません。なぜなら、企業HPやインターンシップでは、企業としてアピールにならない点や不都合な点を伝えないからです。
とはいえ、企業が悪意を持って隠しているというわけではありません。単純に企業HPやインターンシップは、学生に対するPRという側面を持つため、わざわざ伝えないだけです。皆さんも面接の場で自己PRをする際、自分の不得意なことや苦手なことを、積極的に言わないですよね。それと同様です。
しかし、企業がアピールしたがらないポイントも調べなければ、結局自分で決めた就活軸に合致する企業か分かりません。そんな時は『就職四季報』『会社四季報』『業界地図』『CSR企業総覧』等の、第三者が取材した客観情報をチェックするとよいでしょう。
例えば『会社四季報』を見れば「その企業が儲かっているか・成長している(安定性がある)か」が分かりますし、『CSR企業総覧』を見れば、「離職率や残業時間、平均賃金」といった働くうえで重要な要素が分かります。
これらの情報を活用しないと、「自身の就活軸では『長く働ける』が条件だったのに、離職率の高い企業に就職してしまった」等ということになりかねません。
こうした書籍は、図書館や大学のキャリアセンターに置いてあることが多いです。また、書店での購入も可能です。ただし、こうした書籍を買うとなると、お金がかかります。「ブンナビ×読売新聞」のように、『会社四季報』『CSR企業総覧』の情報をグラフ付きで無料閲覧できるサイト等もありますので、これらも上手に活用していきましょう。
何のための就活軸か忘れずに
就活軸は、就職活動における「始祖」といえます。就活軸を基に、自身の方向性を決めていく形ですので、必ず就活軸を決めていきましょう。
そして就活軸を決めるのは「内定をもらうため」ではありません。「社会人になってから後悔しないため」です。内定獲得ばかりに目がいきがちになる就活だからこそ、自分で定めた就活軸を随所で意識するようにしましょう。
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