2025年7月8日(火)
本田技研工業(Honda)(前編)
刈川:会社名は本田技研工業ですが、多くの方はHondaといった方が耳なじみがありますよね。今日は、Hondaと呼ばせていただきますね。中村さんは、今どんなお仕事を具体的にされていますか?
中村:新卒でHondaに入社して、今年で3年目になります。入社後の研修を経て、人事部で新卒採用、特に事務系職種の採用を担当しています。
刈川:Hondaの事業内容や社風について教えてください。
中村:Hondaというと、車やバイクのイメージが強いかもしれませんが、実はそれだけではありません。除雪機や草刈り機、船のエンジン、ロボット、飛行機など、幅広い分野で事業を展開しており、年間で約2800万台の製品をお客様にお届けしています。
Hondaは創業以来、さまざまな挑戦をしてきました。例えば、当時国内で最後に車を作り始めたにもかかわらず、F1に挑戦し優勝したり、アメリカの非常に厳しい環境規制の影響で、どの自動車会社もアメリカで車を販売することができなくなるといった危機に、環境規制をクリアするエンジンを作り、特許を取らずに世の中のためになることだからと他のメーカーにも技術を提供したりしてきました。
そのような、こんなことできるわけないと思われるような挑戦をし、失敗しながらも1つずつ形にしてきた会社です。
そしてこれからも、今までの成功体験や失敗体験を活かし、新たな価値を創造し、世界中の人々や社会から存在を期待される企業を目指していきます。
刈川:幅広いですね。
中村:あまりイメージないかと思いますが、実は幅広いです。
刈川:ここからは、Hondaをもっと知るためのキーワードをご紹介します。1つ目が「ワイガヤ文化」 です。
中村:ワイガヤ文化とはワイワイガヤガヤ話すことを語源にした、Honda独自のミーティング手法のことです。
刈川:ミーティングでワイワイガヤガヤしていようということですか?
中村:単純に雑談するというわけではなく、年齢や立場などにかかわらず、誰もが本音で意見をぶつけ合うことで、多角的に物事について議論することを大切にしています。結果として1人では到達できない、さらに良いアイデアに辿り着き、新しい価値や製品を生み出すHondaの大切な文化になっています。
刈川:それは理想的ですね。でも、なかなか自分から会議の場で、しかも新卒で入って発言するのって躊躇してしまいそうですが、いかがでしたか?
中村:私も最初は本当に緊張していました。ワイガヤ文化の存在は知っていましたが、入社後、初めての会議は、とりあえず話を聞いてひとつひとつ学ぼうと思い参加したところ、いきなり上司から「これについて、中村さんはどう思う?」と聞かれました。恐る恐る上司に答えたところ、「その観点はなかった」と嬉しそうにしていて、その時にHondaの人って“差ではなく違いを活かせ”というHondaの言葉にもあるのですが、年齢や立場にとらわれずに、それぞれの違いを活かして幅広く議論し、良いものを生み出すということに、すごく誠実に向き合っている人が多いと実感しました。
刈川:“差ではなく違いを活かせ”、すごくいい言葉ですね。
刈川:2つ目のキーワードが「4割任用」。これはどういう意味ですか?
中村:4割任用とは、ある仕事の4割ができると上司が判断したら、その仕事を思い切ってアサインするHondaの育成の考え方になります。
刈川:4割で任せてもらえるのですか?
中村:はい、普通はある程度1人でできるようになってから、仕事を任されるというイメージをされるかと思うのですが、Hondaは違います。分からないことがありながらも、主体的に取り組むことで、その分早く成長できるなとも感じていますし、困った時には上司や先輩がすぐに手を差し伸べてくれるので、安心して挑戦することができます。
刈川:中村さんが4割任用で任された仕事はありますか?
中村:入社してすぐの5月に、採用活動の中で特に力を入れている事務系領域のインターンシップの主担当としてアサインされました。これは沢山の学生と社員が関わる大きなイベントなのですが、各領域の責任者の方たちと5日間のプログラムをどのように実施するかなど、コンセプトや内容について議論して、作り上げていきました。最初は、ハードルが高いと感じていましたが、周りの上司や先輩のサポートもあり、背伸びをしながらも挑戦しやり遂げることができました。その時の達成感はこれまでに体験したことのないものでした。私もさすがに、ここまで大きいことを任されるとは思ってなかったので、正直びっくりした部分はありました(笑)。
刈川:1年目からこうした大きい仕事を任される方が多いのですか?
中村:同期の話を聞いても1年目から大きい仕事を任せてもらえるような環境だと思います。
刈川:ちなみに中村さんは入社前と入社後でギャップは感じましたか?
中村:私はHondaの社員の人がすごい活き活きと楽しそうに働いている姿が印象に残り、Hondaを志望しましたが、実際に仕事をし始めるまで、正直どこかで「社会人って大変そう」、「学生のままでいたい」と思っていました。ただ、実際に働いてみると、想像以上に毎日楽しく自分らしく働けているということが、一番のギャップだと感じています。