ブンナビ2027×文化放送

本田技研工業(前編)

この企業に投票する
※2027年卒業の方のみ投票可能です。

本田技研工業ってどんな会社?

皆藤:まずは本田技研工業、Hondaについて教えていただきます。Hondaといえば、車やバイクのイメージを持たれている方も多いと思いますが、どんな会社なのか教えていただけますか?

原田:Hondaは、実は車やバイクだけではありません。小型のジェットや船など、さまざまなモビリティを作っている会社です。Hondaは創業以来、あらゆる分野のモビリティ(動くモノ)を開発し、世界中のお客様のもとへ届けてきました。例えば、誕生から50年経つスーパーカブや自律型二足歩行ロボット「ASIMO」を開発するなど、いつの時代も“夢”や“想い”を原動力に、多くの人々に驚きや興奮、感動を提供してきました。そして、これからも、新たな価値を創造し、世界中の人々や社会から存在を期待される企業を目指ざしていきます。

皆藤:そんなHondaが考えているこれからの業界について教えてください。

原田:実は、モビリティ産業はいま、100年に1度の大変革期を迎えています。今から100年前というと、クルマが馬車に取って代わった時代でした。人々の暮らしも街の風景も劇的に変わりました。いま、私たちはそれに匹敵する、もしくはそれ以上かもしれない変化を体験していくと考えています。具体的には、電動化によるクルマの動力自体の変化、自動運転やAIが拓く新しい移動体験、クルマが移動手段を超えて街を動かすインフラになる、車の所有から、体験・シェアへと広がるモビリティサービス。これらが同時に進んでいくのは人類の歴史で初めてのことで、次の100年を形づくる当事者になるのは、まさに皆さんのような若い方々だと思っています。

皆藤:そんな大きな変革期では、どんなことが重要になってくるのでしょうか?

原田:先ほど申し上げた電動化への対応や新しい体験、シェアへのサービスということを達成していくことは大きな目標の一つです。ただ、Hondaらしさって何だろうと考えた時、必ずしもそれらを達成することが全てではないと思っています。お客様・社会のニーズを考え抜き、そのニーズにあった価値を提供していく。その考えは創業当時から変わらない、世のため人のための考え方です。

Hondaの2050年に向けた取り組み

皆藤:ここからは、Hondaの2050年に向けた取り組みについて教えていただきます。Hondaでは、2050年に向けてどんな取り組みを行っているのですか?

原田:Hondaでは、2つの取り組みを行っていきます。1つ目は、“カーボンニュートラル”で、製品を使用する際のCO₂排出削減と企業活動のCO₂排出削減に取り組んでいます。具体的には、個別の部品にかかるCO₂排出や製造設備のCO₂排出というものを積み上げていって、製品や工場ごとのCO₂排出の削減量の把握につなげています。カーボンニュートラルの実現に向けて、Hondaとして既存の枠組みを超えた新しい事業の取り組みが必要となる施策もありまして、2050年の達成に向けてさまざまな仕込みを行っている段階です。また、モビリティの電動化など、多角的なアプローチでチャレンジをしています。

皆藤:最近もカーボンニュートラルに向けた世界初の挑戦に成功したと伺いました。

原田:ツインエンジンジェット機としては世界で初めて、持続可能な航空燃料を100%使用した試験飛行に成功しました。カーボンニュートラルの達成の手段の一つとして大変注目されています。

皆藤:続いて2つ目は何ですか?

原田:2つ目は“交通事故死者ゼロ”です。全世界の交通事故死者数は年間約119万人と未だ深刻な状況にあります。交通事故死者を状態別でみると、全体のうち四輪車が約25%、二輪車が約30%を占めています。交通事故死者をなくすことは、モビリティメーカーとしての社会的責務であり、とくにHondaは二輪車を最も多く販売する企業として、二輪車を含むすべての交通参加者の安全の取り組みをリードしていきたいと考えています。

皆藤:環境と人にやさしい取り組みに全力で挑戦されているんですね。

Hondaの社風は?

皆藤:Hondaの社風はどんなものですか?

原田:“ホンダフィロソフィー”という企業理念のような価値観がありまして、その中に、“人間尊重”という言葉があります。個人の主体性を求め、周りの人間もそれを受け入れ、サポートする。そんな考え方のことです。自分も含め同僚も、年齢関係なく意見を言える環境がありますし、全員が否定せずに受け入れる。そうやって新しいアイデアを創り出していくことが多いです。

皆藤:そんな社風を象徴するような制度もあるそうですね?

原田:“IGNITION”というHondaのチャレンジスピリットを体現した新事業創出プログラムがあります。2017年よりHonda従業員を対象として始まったもので、社員が持つ独創的なアイデア・技術・デザインを発掘し、投資家の方々と共に熱い想いを持ったすべての人をHondaがサポートする。そういったプログラムになっています。

皆藤:実際にどんなものが事業化されたのですか?

原田:2つご紹介します。1つ目が“あしらせ”というもので、コンパクトな機器を靴につけて、アプリで目的地を伝えると、足に伝わる振動が目的地まで案内してくれるものです。

皆藤:もう1つは?

原田:2つ目が“Striemo”というもので、自分のペースで移動できる立ち乗り三輪モビリティです。ユーザーの安心感を第一にした設計というところがありまして、上質な移動体験を提供できる機械になっています。

皆藤:“IGNITION”によってこういったものが生まれているということなんですね。

Honda独自の文化“ワイガヤ”

皆藤:続いて、新しい価値を生み出すHonda独自の文化について教えていただきます。原田さん、どんなものがあるのか教えてください。

原田:今回は、“ワイガヤ”をご紹介します。ワイガヤは、ワイワイガヤガヤ話すということを語源にした、Honda独自のミーティング手法のことです。社員一人ひとりの想いやアイデアをぶつけ合うことで本質を追求していきます。

皆藤:よくある打ち合わせとはどう違うんですか?

原田:まずは心理的安全性を保つことが大切でして、特徴の一つでもあります。Hondaは一人ひとりの自主性を重んじて、受け入れる文化がありますので、「こんなの間違っている」とか「恥ずかしい」と思う意見も口に出してみることが多いです。案外、そういった意見が思わぬアイデアに繋がることも多いです。そして、ただ意見を出すだけでなく、一人ひとりの意見を重ねて行って、誰も到達できなかったアイデアを出す。それがワイガヤの特徴です。

皆藤:新人の頃は、ワイガヤで意見するのもすごく緊張しそうですが、原田さんはどうでしたか?

原田:初めは苦労しました。間違っているかもしれない意見を言うのは怖いですし、何を言われるか不安でした。ただ自分の意見がきっかけで仕事が前に進んだり、新しい価値を出せたりしたときは大変やりがいを感じますし、Hondaのワイガヤ文化があるからこその経験でした。

皆藤:実際にHondaでは、ワイガヤから生まれたアイデアもたくさんあるんですよね。

原田:創業当時から変わらないワイガヤ文化が、Hondaを成長させてきました。世のため人のためを念頭に置きつつ、世界初・日本初の製品を生みだしてきました。カーナビって実は、Hondaが世界初なんです。あとは完全二足歩行型ロボットの“ASIMO”もあります。

皆藤:年齢や立場に関係なく意見を言い合える環境が、ものづくりをする上でとても大切なのかもしれませんね。

TOPへ戻る

pagetop