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病院薬剤師の業務
薬剤師の業務と言えば真っ先に思い浮かべるのが病院薬剤師でしょう。最近は院外処方せんを発行する病院が増えたため、入院患者のケアをする業務が増えてきました。また「がん専門薬剤師」など専門分野を極めた新しい薬剤師像も生まれています。

医療提供体制の変化

はじめにわが国の医療提供体制について触れます。病院薬剤師として勤務する上では、医療制度の大きな流れを理解しておくことが重要だからです。

わが国の医療提供体制は大きな変革期にあります。これまでの日本の医療は、病床数が多く、在院日数が長いという特徴がありました。特に長期入院患者が多いために医療費を押し上げる要因ともなっています。これは1医療機関で高度な検査から、急性期医療、リハビリなどすべて完結する仕組みになっていたからです。
このような仕組みでは、増大する医療費に歯止めがかからず、また医療需要が増加する超高齢社会にも対応できません。

この問題を解決するために、新しい医療提供体制では、全ての一般病院の病床は急性期医療を中心とした一般病床、長期入院療養が可能な療養病床に機能分化する方向で進められています。すなわち一般病床では高度な検査や手術、急性期の医療を担い、療養病床ではリハビリ、回復期のケアを行い、ゆくゆくは在宅医療に転換する役割を担うことになります。このことによって、1医療機関だけで完結する医療ではなく、医療機関の機能に応じて連携することで患者の医療を完結する「地域医療連携」が模索されています。

外来についても、大病院と中小病院、診療所の機能分化が十分ではなく、大病院へ患者が集中し、長い待ち時間などの問題も指摘されています。患者にとって重要なのは「かかりつけ医」を持ち、そこから治療に必要な医療機関を紹介してもらい、回復期にはかかりつけ医を中心とした医療に戻るという仕組みを理解することです。

このような医療提供体制の再構築は、医療機関や財政上の都合だけで進められているわけではありません。質の高い切れ目のない医療の提供、患者の権利を保証するための情報開示、超高齢社会に対応した在宅医療の充実による患者の生活の質向上(QOL)など、「患者の視点に立った安全・安心な医療」を実現するための方策でもあるのです。

病院薬剤師の業務
病院薬剤師業務ですぐに思い浮かべるのは受付・会計窓口に隣接されている投薬窓口での薬剤師の姿でしょう。しかし、薬剤師の業務は多種多様であり、日々進化しています。ここでは具体的な業務について見ていきます。

(1)調剤業務
医薬分業が進展して外来患者に投薬する機会が減っていますが、すべて院外で投薬されるわけではなく、院内処方によって外来患者に直接投薬することも少なくありません。
処方せんの内容について、飲み合わせ・副作用・量・飲み方などのチェックを行い、患者一人ひとりに適した形で調剤します。患者の状態にあわせて錠剤を粉砕したり、一包化したり、あるいは軟膏を混合したりします。処方せん内容に疑義が生じた場合には処方医に疑義照会することも重要な仕事です。 
病院に通う患者さんは複数の疾患を抱えていることが多く、他の診療科などを受診しているケースも少なくありません。薬剤師は患者インタビュー薬局お薬手帳などを通じて、他科受診、OTC薬との併用などをチェックして患者さんが服薬する上に必要な情報を提供します。

(2)注射薬供給業務
注射薬は一般に効果が強く、その使い方には特に注意が必要です。以前は病棟への注射薬の取り揃え薬局配置は看護師が行っているケースがほとんどでした。しかし、薬剤師が病棟に進出するようになったこともあり、最近は注射薬も内服薬と同様に、薬剤師が処方せんの内容を確認した上で取り揃えたり、混合したりする病院が多くなっています。
注射薬は、処方せんの内容について、投与量・経路・速度・期間などのチェックを行い調剤します。また混合を含め、無菌室での調剤が行われています。注射薬の中には混合すると濁ったり、薬の効力が落ちることもありますので、これも事前にチェックします。

(3)医薬品情報業務
医薬品は情報と一体になって、初めて医薬品としての価値が生まれます。医薬品は、有効性と副作用を十分確認した上で発売されます。しかし、発売後多くの患者さんに使用されることにより、それまで分からなかった副作用や新しい効果が発見されたりすることもあります。
情報収集方法としては、厚生労働省から出される緊急安全性情報(ドクターレター)、製薬会社のMR(医薬情報担当者)からの情報、学会発表、海外を含めた多くの文献等から収集し、できるだけ早く医師に伝え、薬が適正に使われるよう努めることが重要です。多くの病院では専任のDI(医薬品情報)担当者が配置されています。


(4)病棟における薬剤業務
外来患者の処方せんが街の保険薬局に発行されることが多くなり、病院薬剤師業務は入院患者に向けられるようになりました。
・入院患者への医薬品の取り揃え
病棟業務では、患者ごとに配薬カートに患者ごとに用意されたトレイに服用時間に合わせて朝・昼・夕・など1日分ずつ確認しながらセットします。この業務を看護師ではなく、医薬品の専門家である薬剤師が行うことで、医療の安全確保と業務の効率化に大きく貢献しています。
・病棟在庫薬剤(緊急時用)の定数管理
ナースステーションには、緊急時に使用する注射剤等を定数で配置してあります。これらの医薬品については病棟薬剤師が日々数量、使用期限、保管状況等を確認して常に最良の状態で使用できるように管理します。
・持参薬の管理
入院時に患者がそれまで服用していた医薬品を持参することが少なくありません。持参薬と病院で処方された医薬品を同時に服用すると副作用や相互作用のおそれが生じます。薬剤師は持参薬を確認した上で主治医の指示で適正に取り扱われるように管理します。また、市販薬の服用情報やサプリメント等の摂取についても同時に確認し、飲み合わせ等の問題があるかどうかをチェックします。
・ベッドサイドでの服薬指導
入院している患者のベッドサイドへ伺い、服用中の薬剤の情報を詳しく説明し、服用後の状況を確認する業務です。ベッドサイドでの指導に際しては事前に、医師・看護師等の医療スタッフとも十分な打ち合わせを行い、また検査値などの情報もタイムリーに確認して、安全にかつ有効な薬物治療が継続できるように配慮します。また、患者から得られた服薬指導時の情報や問合せに対する対応等についてもその都度、情報を病棟スタッフや医師と共有することで医療の質の向上と安全を確保することができます。この業務は「薬剤管理指導業務」として診療報酬で評価されています。
・退院時服薬指導
患者が退院して自宅に帰ってからも安心して服薬を継続できるよう退院に際しては、そのタイミングに併せて担当薬剤師が丁寧に退院後の服薬に際しての留意点等について説明します。また、退院後の受診時からは外来処方せんの調剤はかかりつけの薬局の薬剤師が担当しますので、入院中の服薬情報等を保険薬局の薬剤師に伝え、切れ目のない薬物療法ができるようにすることも重要な役割です。
 
(5)その他
必要な薬を必要なときに必要な数だけ提供できるように管理する薬品管理業務、医療に必要な発売されていない薬を造る製剤業務、製薬会社と協力し、新しい薬をつくる治験業務、その他、医薬品使用にかかわる医療安全対策、院内感染の防止対策など多くの業務に薬剤師が関わっています。

病院薬剤師の業務拡大
最近、専門薬剤師という名称が普及しつつあります。専門薬剤師とは、特定の領域で医師の負担を分担して、安全で安心できる薬物療法を提供することができる薬剤師のことを指します。現在、日本で専門薬剤師として認定されているのは、「がん専門薬剤師」「感染制御専門薬剤師」「精神科専門薬剤師」「妊婦・授乳婦専門薬剤師」「HIV感染症専門薬剤師」などです。
日本病院薬剤師会、日本医療薬学会など多様な機関が認定しています。薬剤師は、医薬品の関する幅広い知識が求められますが、一方で医療の高度化に伴い、特定分野に強い専門薬剤師も求められています。現在バラバラに行われている認定方法、認定機関の統一などの課題はありますが、今後の薬剤師の職能拡大に向けて大いに期待したい制度です。
表.日本において現在認定されている専門性をもつ薬剤師
認定組織 名称
日本病院薬剤師会 がん専門薬剤師
感染制御専門薬剤師
精神科専門薬剤師
妊婦・授乳婦専門薬剤師
HIV感染専門薬剤師
日本医療薬学会 日本医療薬学会認定薬剤師
日本臨床薬理学会 日本臨床薬理学会認定薬剤師
日本生薬学会/日本薬剤師研修センター 漢方薬・生薬認定薬剤師
日本糖尿病学会 糖尿病療養士
日本静脈栄養学会 NST専門療養士
日本アンチ・ドーピング機構 スポーツファーマシスト
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