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(ブンナビ公務員特集記事 千葉市児童相談所)一緒に悩みを共有できる職場での、家族への支援をする心理職としてのアプローチ【百合本麻莉子 西部児童相談所児童心理司】

家族療法を学び、児童相談所で
家庭の中の困りごとに関わることに

私は、大学院卒業後、新卒で千葉市児童相談所の児童心理司になりました。中学生の頃に心理学に興味をもったのですが、大学では教員を目指して文学部へ進学。在学中は、子どもたちと直接触れ合ったうえで教壇に立ちたいと思い、中高生と関わるボランティア活動をしていました。ボランティアでの関わりの中で、子どもと保護者両方から相談を受けることがあり、その経験から、家庭の中での困り事があるけれどどうしたらいいか分からないという問題に、心理の専門家としてアプローチしてみたいと思い大学院へ進学しました。家族というものをシステムと捉えて働きかける家族療法を学んだことで、家族支援に関われる仕事に就きたいと思うようになりました。心理職という仕事は非正規雇用が多い中、正規職員として安定した暮らしを送りながら仕事がしたいという希望をもっていた私は、千葉市で公務員として働くことを選びます。児童相談所に配属され、現在3年目です。

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実際に仕事を始めた頃は、普通の生活では触れ合うことのないような状況にある方々や家庭に直面し、正直「とんでもないところに来てしまった」という感情もありました。大学院で実習はしてきたとはいえ、一つずつの家庭にプロとして関わるにはまだまだ勉強が必要です。現在は50以上の家庭を担当しており、月に20回以上の面接を行っている状況で、記録が追いつかないほどの忙しさです。また、児童相談所の業務は多岐にわたっており、面接以外に障害児施設の入所や障害の程度の判定、療育手帳に関わる判定業務なども担当しています。その他にも電話や窓口でのお客さま対応や、児童相談所が24時間365日で行っている虐待の初動対応の当番に入ることなど、児童相談所の一職員としての業務もあります。日々実践を重ねながら、学び続けているところです。

児童相談所ならではの協力体制と安心感

児童相談所の児童心理司としての業務は、子どもと家族の面接や検査、その支援が中心です。支援方法を決定するための所見をまとめる役割も果たしています。心理の専門家なので、ただ話を聞くだけでなく、しっかりと評価し支援することが求められますが、ときには児童心理司として何もできていないと無力感に襲われ、申し訳ない気持ちになることもあります。その子が抱えているのがどんなものなのかをアセスメントするためには、検査やケアの方法についての学びの継続が不可欠です。
児童相談所以外で働く心理職は、職場では一人で仕事をすることが一般的ですが、児童相談所には児童心理司として働く職員が数多く在籍しています。優しくあたたかな先輩たちは、経験豊富でありながらも学び続ける姿勢があり、頼りになる存在です。新卒で入職した私は、メンターの先輩や、さらにその上の先輩に相談し、アドバイスをいただくなどのサポートを受けながら少しずつ仕事を覚えていきました。お子さんとの面接は安心して話してもらえるようにと一対一で行います。はじめの頃は、心配なことがあると面接の前後で先輩方に質問して、どんな風に話を進めるのが良いか一緒に考えていただきながら臨んでいました。仕事は多忙でありながらも、先輩たちから学ぶことができ日々の実践を通じてスキルを磨くことができる、とても安心感のある職場環境だと感じています。
また、児童相談所は、他の職種の皆さんも明るく、本当に行政の職場なのかと思うほどです。仕事はきびきびと進めつつ、年齢や年次の上下に関係なく、冗談を言い合ったり、趣味の話をしたり、楽しく過ごしています。

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子どもたちが生きやすい環境を整えるために学び続ける

  • 児童相談所では、家族や子どもたちが望んでいないのに介入する、という場面が多くあります。その関わりに対して拒否感を示す方も少なくはありません。それでも、子どもにとっての最善の利益、権利擁護という観点で、粘り強く関わっていくのが私たちの仕事です。例え虐待でお子さんに手を上げてしまう保護者の方でも、お子さんを大切に思う気持ちがあることは話していると分かります。お子さんとの触れ合い方に迷いがある保護者の方もいらっしゃいます。そういう方にも丁寧に接し、最後には「相談できてよかった」と思ってもらえるようにしたいですね。初めての面談でも、最初はピリピリとした雰囲気だった親子が、帰りには和やかな雰囲気に変わっているときなどは、児童心理司として面談をやっていてよかったなと感じます。
  • 虐待を受けて育ったり、自分のことを傷つけてしまったりと困難さを抱えているお子さんが、健康的な大人と繋がってほしいと思っています。自分自身に価値を見出せていない子どもたちが、そういう大人に頼ることで不安定な思いが少しずつ小さくなって、自分が生きやすい環境の中で成長していってくれたらいいなと思っています。そして、私自身もそこに関わる一人でありたいです。今後、児童相談所の児童心理司としてさらに学びを深めながら、別の視点からも学び続けて子どもたちとより良い関わりができるようになりたいと考えています。
  • 家庭や子どもたちに対して、児童心理司と児童福祉司が連携して支援していくことが多いのですが、児童福祉司には社会福祉士の資格を持っている職員も多く、一緒に仕事をしていると大変勉強になります。千葉市児童相談所では、希望をすれば私のような心理職でも児童福祉司としての経験を積ませてもらうことができるので、いずれはケースワーカーなども担当し、私自身が家族に関わる専門家として、これからも児童福祉を広く勉強し経験を積んでいきたいです。
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ある一週間のスケジュール

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